2026.2.2
【一点物】1930〜1940年代 国産腕時計 ― 同じ時間を生きたものは、二つと存在しない
1930〜1940年代。
国産腕時計が、まだ「完成品」ではなく、挑戦そのものだった時代。
この時代に生まれ、
今日まで残った腕時計は、
単なるヴィンテージではありません。
90年近い時間を生き抜いた、唯一無二の個体です。
一本として、同じ表情は二度と現れない
この時代の国産時計は量産品でありながら、
現代の工業製品のような“均一さ”はありません。
焼けて生成りへと変化した文字盤
針やインデックスに現れる、わずかな色の揺らぎ
ケースに刻まれた、時代の摩耗と傷
それらはすべて、この個体が歩んできた時間の記録です。
同型番であっても、同じ状態のものは存在せず、
この一本は、世界に一つしかありません。

戦前・戦中を越えて残った「選ばれた個体」
1930〜40年代は、
時計にとって決して穏やかな時代ではありませんでした。
物資不足、社会の混乱、そして多くの時計が失われた時代。
それでもなお現存しているという事実は、
この時計が使われ、守られ、修理され、受け継がれてきた証です。
当時の日本で、腕時計は高価で、
簡単に買い替えられるものではありませんでした。
だからこそ、この時計には
「消費されなかった時間」
が宿っています。

日本の時計史、その原点を腕に着ける
この時代の国産腕時計は、のちの国産時計黄金期を支える原点です。
完成度よりも、志。
洗練よりも、誠実さ。
現代の高性能時計とは異なる、
不器用で、しかし真っ直ぐなものづくりが、
ケースの内側、ムーブメントの隅々にまで残っています。
実用品を超えた「時間の個体差」
この時計が刻んできたのは、単なる秒針の動きではありません。
昭和初期の街の音
戦前・戦中・戦後をまたぐ空気
持ち主の生活と人生
それらが折り重なり、
この一本だけの“時間の質感”を形作っています。
新品では決して手に入らない、
経年という名の仕上げ。
それこそが、この時計最大の価値です。
この一本を選ぶということ
この時計を手にすることは、
「便利さ」や「最新技術」を選ぶことではありません。
同じものを二度と選べないという覚悟と、
時間を受け継ぐという贅沢を選ぶことです。
量産ではない。復刻でもない。
今、この個体と出会えるのは、あなた一人だけ。
――
一期一会の国産腕時計。